歯科医院でよく撮るレントゲン

太田新田歯科医師会

とりやま歯科医院

院 長 周藤 泰之

 

歯科医院でよく撮るレントゲン

 

最近、原子力発電所の問題・放射線被爆についてはメディアでも多く取り上げられ、皆様も気になっていることと思います。

歯科医院では、人体に影響があると言われている放射線(レントゲン)を使用して検査し治療を行っています。その検査は、正しい診断を受け治療に役立てていくために行うものです。

歯科医院で使用する放射線の量は、身体に影響が出ると言われている量よりもはるかに少ない量を使用しています。そして、必要な場所のみに必要最小限の放射線量で病気(むし歯・歯根の状態・歯周病の進行など)を見つけ正しい診断が下せるように検査を行っています。また、ここ近年歯科用レントゲンもデジタル化が進み、治療で使用する放射線の被曝量が、以前(フィルム)と比較して約1/4程になりました。よって放射線による影響を心配することはありません。

それでもなお、患者様の中には不安に思う方も多くいると思います。人は地球上で生活をしていると自然に放射線を浴びていることをご存知ですか?自然に浴びる放射線と歯科医院での放射線を比較してみます。

日常生活で自然に浴びる放射線が、年間約2.4mSvと言われています。ちなみに、東京からニューヨークまで飛行機で移動した場合、約0.2mSvの放射線を浴びることになります。対して 歯科医院でのレントゲンですが、1本ずつの歯を検査する小さいレントゲン写真1回約0.01mSv(自然に浴びる放射線の1/200程度)、顎全体を撮影するレントゲン写真でも約 0.03mSV(自然に浴びる放射線の1/80程度)、歯科用CTは約0.1mSvです。

尚、歯科医院でレントゲン撮影する際は、鉛のエプロンを着せることによって十分な防護を行っています。

放射線をもっとも気にするのが妊婦さんだと思います。妊娠初期にレントゲン撮影を受けて不安に思っている人や、妊娠に気が付かない時期にレントゲンを撮影して後日妊娠がわかって心配になってしまったなど。胎児に影響がでると言われているのは、受精後0~9日だと50~100mSvの被爆で受精卵の死亡、妊娠4~8週だと50~100mSvの被曝で奇形が発生する可能性があり、8週以降だと100~200mSvの被爆で精神発達遅滞が生じる可能性があると言われています。これらのことと比較すると歯科医院でのレントゲンがいかに少量かわかると思います。

レントゲンを撮影すると言うことは体に対して無害なわけではありません。しかし歯科医療では歯・歯周病の治療を行うのに何の根拠も無しに進めることは出来ません。

歯科医院でのレントゲン被爆量はごくわずかです。1日数枚撮っても身体にさほど影響はありません。レントゲンを撮ることでより正確な診断ができ、安全に治療を受ける為にもレントゲン撮影はとても重要なことです。被爆という言葉に惑わされず、症状が悪化する前に適切な診断の上、治療をすることをお勧めします。