インプラントは高すぎる!ホームセンターのネジでどうにかならない?

担当 小森谷 和之

太古の昔からの人類の夢、歯のなくなってしまったところに歯を植えること。
現在では、この夢もチタン製のスクリューを植え、その上に歯を作るというデンタルインプラント治療により、なんとかそれなりに現実となってきました。
デンタルインプラント治療では、今まで取り外しの入れ歯を入れることしか出来なかった歯のない場所に、残った歯に負担無く固定式の歯を入れられるようになりました。それにより患者さんはその歯を自分の歯と同じように、あるいは人工の歯と意識せずに食生活を送れるようになりました。
しかし残念ながら、どんな患者さんにもこれらの治療方法が応用できるかというと、そうではありません。種々の技法の発達で医学的な適応範囲は広くなったのですが、残念なことに経済的な適応が限られているからです。このような治療はどうしても治療費が高くついてしまい、その治療費を払えない患者さんはその恩恵を受けることが出来ないのです。
ではどうしたらよいのか?やっぱりホームセンターで材料を安く仕入れてくるという手もありますが、値段の問題は解決してもそこには材質の問題が…
人工歯根(歯科用インプラント)という発想自体は紀元前からあったことが確認されており、初期のものでは貝殻が埋め込まれた顎の骨が見つかっているようです。
この貝殻だけでなく、人工歯根には一旦抜けた歯や、動物の骨、鉄、金、エメラルド、サファイア、ステンレス、アルミニウムなどなど、さまざまな材質のものが使われていたようです。しかしながら、結果的にはどの材料も満足のいくものとはなりえず、現在の和漢薬のように継続的に使用されるに至ってはいません。
インプラントの材料として今のところ最適と考えられているものが発見されたきっかけは、ちょっとしたことでした。
スウェーデンのブローネマルク先生が1952年に別の実験中にチタン製の器具が骨にくっついたことによって「チタンは骨にくっつくのだ」と考えました。ブローネマルク先生はさらに研究を進め、人の軟組織に対してもチタン製の器具は何も悪いことはしないことが分かりました。
以上のことが、高価なチタンもしくはチタン合金が耐腐食性、無毒性、骨との結合能、強度など、そして加工や入手のしやすさも含めて、人工歯根に最適であり、同時にホームセンターで売っている鉄や、心中、ステンレススチール、コバルトクロムなどの金属でできた安価な目ネジや鍋蓋ネジなどは、人工歯根に適していない理由となるのです。

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