口から始まる健康長寿

                       関根歯科医院    屋代 哲

  口からはじまる健康長寿 2012年の日本人の平均寿命は、男性が79.9歳、女性は86.4歳で世界最長寿国ですが、健康な寿命もそのくらい延びていますでしょうか? 健康寿命としてはいろいろな定義がありますが、日常的に介護を要しない、自立して生活を営める期間といわれています。(現在は約77歳) 要介護にならないためにはお口の機能向上が重要となってきました。一般的に大人の歯の数は28本(親知らず除く)。少なくとも20本の歯があれば、ほとんどのものをしっかり噛んで食べられることが分かっています。そこで日本歯科医師会が提唱しているのが「8020(ハチマルニイマル)運動」です。80歳になっても20本の歯を保ちましょうという呼びかけです。80歳で20本以上御自分の歯が残っているお年寄りの方の調査結果によると、生き生き充実した質の高い生活を送られているお年寄りの方が、数多くいることが報告されています。(H23年 80才約14本残存、20本以上約4割)咬む刺激が脳に伝わり、ボケの予防になります。 歯がなくなるのを防ぎ、8020を達成するためには、生活習慣病でもある虫歯と歯周病を、食習慣や生活習慣を積極的に改善するように心がけることで予防し、生涯を通じた歯と口の健康づくりをすることが大切です。 ○歯がなくなる原因は? 昔は虫歯で歯を失う人が多かったのですが、最近は小さい頃から良く治療し、また予防も発達したため虫歯が少なくなったのと、高齢者が多くなったことで歯周病の割合が増えています。その結果、歯周病によって歯を失うことが多くなってきているようです。 歯周病というのは、歯を取り巻いている歯肉や歯槽骨に炎症が起きて、最初は、歯肉が腫れたり出血がみられるというような症状があります。虫歯の場合は痛みが出ますが、歯周病は進行するまで痛みがほとんどありません。したがって自覚されにくい病気であるといえます。ただし、進行してくると骨まで侵されることになりますから、歯がぐらぐらになって抜かざるを得ないということになります。 ○歯周病が招く恐ろしい病気として 歯と歯肉の間にあるすき間を「歯周ポケット」と言いますが、歯周病が怖いのはその中にいる細菌が血液を介して体全体に流れ、病気の原因になる危険があることです。それが心臓に行き渡ると「心内膜炎」という病気になって、心疾患の原因になるといわれています。それから糖尿病の人が歯周病になるとさらに糖尿病が悪化する恐れがあります。 ○歯周病の予防・治療として 大切なのは、毎日の歯磨きと歯間ブラシやデンタルフロスを使った歯間部のお掃除です。正しい歯の磨き方は、歯石除去と併せて定期的にかかりつけの歯科医院で指導を受けましょう。できるところは御自分で、とどかないところは歯科医院でお掃除しましょう。また、喫煙は歯周病、糖尿病の両方を悪化させますので禁煙を心掛けましょう。

クセと歯並び

FM太郎        平成26年1月21日(火)放送

今日は日頃の何気ない仕草が歯並びに影響する事をお話したいと思います。お子さんが中心の話になりますが、歯並びの関心は高いように見受けられますので、簡単にお話させていただきます。

まず、歯並びに関係する一番代表的なものは、指しゃぶりですね。永久歯が出てくる小学校入学前後の5,6歳頃の指しゃぶりのクセが取れていないと、指の入っている型に歯が並んでいってしまいます。そうすると歯をかみ合わせても、上の歯と下の歯の間に隙間があいてしまい、外見上も気になりますが、前歯で物をかみ切れなくなることが問題となります。爪かみや毛布をかむクセも同様に爪の厚さ分、毛布の厚さ分の隙間ができてくることになります。

次に多いものは唇を閉じずに、ずっと開いたままにしているケースです。例えばテレビを見ている時などに口を開けたままになってはいませんか?唇を閉じていないと上の前歯は押さえがなくなって、前へ出て行ってしまいます。俗に出っ歯といわれるのがその状態です。前歯が出てしまうと唇が閉じにくくなってしまうことや前歯に着色がつきやすくなる、虫歯にもなりやすくなるなどあまりいいことがありません。

 

他には舌のクセなどもあります。舌で前歯などを内側から押し出してしまうクセです。前歯だけでなく奥歯を押すことがあり、押された部分は歯がかみ合わなくなったりします。舌のクセは物を飲み込む時に押していることもあり、周りが気づきにくい特徴があります。

 

人には色々なクセがあるので、一概に全てダメというものではなく、支障の出ている部分を支障が出にくいように治していく姿勢が重要かと思います。

指しゃぶりなどを見るとすぐにやめさせないとダメなんじゃないかと思いたくなるものですが、クセである以上急にはやめられないものであります。ゆっくりと、徐々に長い目でみて修正していく方にもっていくのが良いのではないでしょうか。

なお、歯の事に関しては歯科医院に専門家がおりますのでそちらでご相談いただければより適切なアドバイスが受けられますので、ぜひかかりつけの歯科医院にお声掛けください。

 

本日はどうもありがとうございました。

キシリトールでムシ歯予防

どなたでもキシリトールという言葉を一度は見たり、聞いたりしたことがあると思います。ですが、キシリトールが何であるのか?また、どのような効果があるのか?それを分かっている人は少ないのではないでしょうか。そこで、今回はキシリトールについてお話しさせていただきたいと思います。

キシリトールとは多くの果実(プラム、イチゴ、ラズベリーなど)や野菜(カリフラワー、ナス、レタス、ホウレン草など)の中に天然で含まれる自然の甘味料です。食品添加物として使用される前は輸液(点滴剤)として直接、体内に入れていました。なので、人体にとって安全な食べ物なのです。

次に、キシリトールの効果ですが、大きく分けて2つあります。1つは「ムシ歯の原因にならない」ということ。ムシ歯の原因である酸をまったく作りません。さらに酸の中和を促進する働きも持っています。もう1つは、「ムシ歯の発生、進行を防ぐ」という効果です。ムシ歯の原因となるプラーク(歯垢)をつきにくくして、歯の再石灰化を促進します。しかしながら、キシリトールだけ摂取していればムシ歯を予防できるわけではありません。歯をムシ歯から守るためには、正しく歯を磨き、フッ素入りの歯磨き粉を使用することが大切です。

最後に、ムシ歯予防に効果的なキシリトールの選び方ですが、現在では色々な製品にキシリトールが含まれていますが、甘味料としてキシリトールが50%以上含まれることが望ましいといわれています。製品としてはガムか錠菓(アメ、タブレット)に限ります。なぜならキシリトールがお口の中で長く留まるものがこれ以外にないからです。それと製品のパッケージや成分表示をよく見て「シュガーレス」表示や糖類0グラムであることを確認してください。

以上のことをふまえて上手にキシリトールを摂取してムシ歯予防に役立てましょう。