2. 高齢者の口腔機能の重要性

1) 高齢者の窒息と口腔機能
毎年、多くの高齢者が食べ物を喉に詰まらせ亡くなっています。
その数は家庭内の事故で最も多く、年間に6800人にもおよび、毎年増加しています。
自宅で介護を受ける高齢者300名に対し調査を行ったところ、
約1割の者が過去1年間に食物による窒息を経験していました。
窒息のリスク因子を検討したところ、脳血管障害の既往(オッズ比=4.1)、
摂食嚥下機能(オッズ比=3.4)、向精神薬の服用(オッズ比=2.8)の有無が挙げられました。
いずれも、口腔機能に深く関わるもので、口腔機能向上の必要性が浮かび上がってきます。

2) 気道感染と口腔機能
 高齢者の多くは誤嚥性肺炎をはじめとする気道感染で命を落とします。
誤嚥性肺炎の原因は感染源として口腔内細菌叢の悪化が挙げられます。
口腔機能の低下や口腔ケアの自立の低下は口腔内細菌叢の悪化を招くことが知られています。
また、感染経路として嚥下機能の低下、咳嗽反射の低下が挙げられます。
さらに、高齢者に多く見られる抵抗力の低下は低栄養が原因である場合が多く、
いずれも口腔機能と深く関わっています。

3. 口腔機能向上の効果

1) 清掃面の効果
口腔清掃を中心としたケアは、口腔細菌叢の正常化に寄与することが多くの研究で明らかになっています。
さらに、感染経路対策として嚥下機能や咳嗽反射の低下に対する対策が重要ですが、
最近、口腔清掃を継続して行うことで口腔への刺激が加わり、
嚥下反射や咳嗽反射の賦活化が見られることが報告されました。
つまり、口腔清掃を中心とした口腔ケアは誤嚥性肺炎に対する感染源対策ばかりでなく、
感染経路対策にも重要であるといえます。
2) 機能面の効果
要介護高齢者に対する口腔機能向上訓練は、より機能の低下を示している者に対しても効果的で、
比較的低下の程度が低い者に対してはその機能を維持する効果が認められています。

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